103号室

オタクです 文章を書きます

「至れる」迷作 アニメ『終ノ空』

 

 

・はじめに

 かつて「三大電波ゲーム」と呼ばれた三作をご存じだろうか。そのストーリー、展開、そしてキャラクターの個性などから「電波」と評された、今じゃそうそう目にかかれないほどの強烈なアダルトゲームである、『さよならを教えて』『ジサツのための101の方法』そして『終ノ空』の三作のことを指す。たまに人によっては『』のトースターエンドを加えたりされるがたいていはこの三作が挙げられる。

 

 そのへんはこの記事で詳しく書かれてますね、ぼくもこの記事は繰り返し何回も読んでいます。

nyalra.hatenablog.com

 

そしてその「三大電波ゲーム」のうちのひとつである『終ノ空』はなんとアニメが製作されており、その原作とは違った意味での強烈な内容や展開から、ケロQファンに「これは至れる」などの評価を受けている。この間偶然、そのアニメ『終ノ空』が安く手に入った。ので、ゲームの『終ノ空』に関しては先の記事やネットにいくらでも転がっている感想や『素晴らしき日々』の考察サイトに任せるとして、今回はこの”アニメ”『終ノ空』についての感想を記していこうと思う。

 

 

・アニメ『終ノ空

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 ではアニメ『終ノ空』はいったいどのような内容なのか。実際にアダルトなシーンを除いたもの(原作から改変しすぎて意味わかんないのがさらに省略を加えられ意味わかんなくなってる)がニコニコ動画に挙げられているので、この記事を読むうえで我慢して一回通して視聴してもらいたい。 

 

終ノ空 アニメ版 by hi - ニコニコ動画

 

 かつて、原作のシナリオ他を担当したすかぢ氏は、ツイッターにて

 

 

 と述べている。この時点で大体察しが付くと思うが、ぶっちゃけて言えばかなりの駄作である。乱れた作画手抜き背景原作の魅力であった哲学要素の完全撤廃純粋に演技が下手なうえ全くキャラに合っていない声優……どれをとっても昨今大炎上している「原作レイプ」と呼ばれる行為の165キロど真ん中ストレートな作品だ。これが何故「名作」としてすかぢ氏に、そしてケロQファンに受け入れられているのか……。今回はその辺について考察する。

 登場人物の説明は面倒だから原作の公式サイトを見てね! 

http://www.keroq.co.jp/product/sora/chara.html

 

 

・内容

 ではそのアニメはどのような内容なのか……。キャプチャとともに簡単なあらすじを紹介していきます。

 出来がアレなアニメって伝わったらいいんで、ここは画像だけ見て読み飛ばしてもらってもオッケーというかそれ推奨です。

 

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いきなり安っぽい爆発エフェクトの後に高速回転する地球と製作会社らしきロゴが出ます。適性がない人はもうこの辺で限界を感じそうですね。どんどん行きましょう。

 

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 屋上に立つざくろさんの演説とそれに反論する卓司君から始まります。「肉体は滅んでも生命は滅びない」「地球が終わるから意味はない」的なやり取りです。ウィトゲンシュタインなどを引用した原作とくらべて非常に薄っぺらいやり取りですね。卓司君の声の違和感が凄い。このあと卓司君が「最高の世界へ連れてってやるよ」とか言ってS○Xシーンその1に入ります。画面の半分近くがモザイクという大胆な構図卓司君のいい声の喘ぎ声はある意味必見。

 

 そのシーンの中で、卓司君は「目を合わせることでマインドコントロールができる」と言います。ですが、原作には一切そんな設定はありません。しかも、しゃべってる間は殆ど卓司君の顔のドアップという誰得使用で視聴者は卓司君の目をいやというほど見せつけられます。これが本当にキツイ……。ちなみにシーン自体はgifのようなおなじ画像の繰り返し異常なほどうるさい卓司君の喘ぎ声という地獄が繰り広げられています。射精音が異常にうるさくてちょっと面白い。

 ちなみに卓司君にレされるシーンの直前、ざくろさんが面白い表情をしてくれます。LINEとかでぜひ使いたいですね。

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 このあとざくろは自殺してしまいます。バナージ……悲しいね……。彼女の死をきっかけに物語が動き出すのは原作と共通しています。どうでもいいけどこの屋上って全面柵でおおわれて出入り口がないんだけど…。どういう意図で柵が作られたのか全然わからない。

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 そしていよいよ主人公登場です。寝起きで琴美のパンツ覗くシーンから始まります、白です。声が独特ですがこの行人の声は””””アリ””””なんじゃないでしょうか?琴美の声は思ったよりいい感じです。

 

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 独特な立体表現をした救急車とパトカーを発見し学校の様子が変だと察し、その後クラスの噂話でざくろの死を知ります。ざくろの死にショックを受けた琴美ですが、その後それを引きずりつつも部活へ行くために更衣室で着替えをします。

 

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 着替えのシーン。妙に気合の入った衣擦れ音は一聴の価値アリ。

 

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 そしてそれを覗く横山やす子……ここから彼女の脳内での百合S○Xシーンに突入します。百合厨もニッコリ。これもまあひどいモノで、作画がひどい上に特に言及することもないのでとばします。

 ちなみに横山やす子の見た目なのに名前が「秋田なつこ」になるという意味が分からない改変がされていますが面倒なので横山やす子で行きます

 

 

 そして場面は琴美から転じて行人へと移ります。行人はそのまま屋上にとどまっていたんですがここで原作で超電波を振りまき、正体は完全不明の謎謎謎でブッ飛んだキャラクターである、音無彩名の登場です。ぼくこのキャラクターが一番好きなんですよね……。ちなみにこの子はふたなりになったりします。

f:id:kousatenkun:20160528224809j:plain意味分からんことを述べまくる。

 

………誰だお前!?!??!

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 これはひどい…。会話も普通に成り立つし(原作の彩名さんは会話が成り立たないことが多いゾ!)、かと思いきやいきなり「輪廻転生、終ノ空…」とボヤいたりもします。中途半端な原作リスペクトはやめろ!

 ここからの会話は一見の価値アリ。彩名さんが間宮君(黒幕)について、「学校に来ているが教室には来てない」と話すと行人は「じゃあ、どこへ…?」と問います。すると彩名さん「ある程度はわからないけど、たぶん…」と、もったいぶった話し方をしていると…

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マジでどうでもよさそうな顔で「まあいいやあ…」と言います。自分が問いかけたんなら話は最後まで聞けボケ!

 

 そのあと「終ノ空」というワードについて話したり間宮君のの思想がヤバいだとかそんな話を聞いて部活終わりの琴美と合流し帰宅します。そこで行人は朝のパンツ覗きについて謝罪するんですが、

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ちょっとかわいい作画で「ハンバーガー奢ってくれたら許してあげる」と、たかが数百円程度で許してくれます。この時点でもうざくろの自殺とか心底どうでもよさそう。行人はさみしさを我慢しての発言だととらえ、妙なテンションで「ポテトとコーラも、いってみよーう!」とか言います。

 

 次の日、また自殺者が増えたという情報が行人と琴美の耳に入ります。

 そこからまた前触れなく百合レズシーンwith卓司feat.鞭。「もっと舐め合えぇ!もっとべっちょりだあ」といい声でよくわからない指示を出す卓司君。終末的な思想を述べるんですがこれもまた非常に薄っぺらい。そして暗転。

 

 そのまた次の日。行人が目覚め、琴美がいないことに違和感を覚え、琴美の家を訪ねると、顔の造形がなんだかおかしな琴美の母親に、琴美が前日から帰ってきてないことを知らされます。

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 それを聞いた行人は急いで学校へ行き、彩名さんから間宮君がプールに入り浸ってるという情報を聞き出します。さっき聞いとけよ……。

 

 そして場面はプールに移り、そこで琴美はマインドコントロールを受けたやす子にレされています。そして卓司君が参加する直前……

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行人間にあった!ここから物語はクライマックス。作画力もこれまで以上に崩壊。

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 バッキャロー!と卓司を殴りつけます。しかし懲りずに「終ノ空がすぐそこまで来てる…」とかわけわからんことをいう間宮君のもとに…

f:id:kousatenkun:20160528232038p:plain死んだはずのざくろが現れるというさらにわけのわからない展開。前触れがないだけにもう視聴者は置いてけぼりです。まあ原作もけっこう読者置いてけぼりにされるんですけど。

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 そしてその影響で間宮君の精神は崩壊、ポリゴンショックを彷彿させる背景の中で発狂し物語は終わり、家に帰った琴美と行人はS○Xします。めでたしめでたし。というお話でした。

 

 この作品の面白さは文章では伝えきれないところが多々あるので、少しでも惹かれた方はフルでの視聴をお勧めします。ここで買えます↓

http://www.amazon.co.jp/%E7%B5%82%E3%81%AE%E7%A9%BA-DVD-%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1/dp/B0000635S7

 

 

・アニメ「終ノ空」なにがケロQファンを惹きつけるのか?

 ここからが本題です。ではこんなアニメなのになぜケロQファン達、そしてすかぢ氏自身は名作認定するのか?実際のところぼくもこの作品、好きか嫌いかと言われると「好き」と答えます。それはいったいなぜなのか?

 

 そもそもゲーム『終ノ空』という作品は、ぶっ飛んだ展開、突然薬をキメたように哲学をベラベラ喋り出す登場人物……もはや電子ドラッグの域に達するような強烈な電波を孕んだ作品です。そしてそんな作品に魅了される人というのも、どこか歪んだ劣等感を持った、周囲にうまく馴染めない集団に属する人たち。レールから外れてしまった生き方をしていると思い込んでしまうせいで、歪なものを好んでしまうという性格が形成され、ゲームと呼ぶには歪な『終ノ空』、そしてこの原作から見るととても歪なアニメを好きになってしまう……というわけではないでしょうか。実際僕は最近あったTHE歪アニメであるJKめし!大好きですし。


 また、この作品は、アニメとして真面目にみるともういたたまれなくなるのですが、ギャグアニメを見ているような視点で見ると本当に面白いです。雑な背景、gifのような登場人物の動作、崩れる作画、エフェクト……。デジタル化が進行した現在では到底見ることのできない、2000年代前半の、特に予算がかかっていないアニメの「味」を感じることができます。これが僕たちの心をグッとつかんで離してくれないんですよね…。その「味」を今でも感じさせてくれるアニメスタジオはもうディオ○ディアしか残っていません。実際僕もディオメ○ィア作品をそういう視点で見るのが大好きです。

 

 そしてこのアニメがファンの心を惹きつける一番の理由……。その秘密はずばり、原作となった『終ノ空』の本質にあると思います。

 『終ノ空』という作品は、前述したように突然薬をキメたように哲学的思考を喋り出す気持ち悪いシーンが多々見られます。そしてプレイヤーはそんな登場人物たちのように、終ノ空」へ至りたいと思うようになります。「至る」までの過程というのは様々ありますが、このアニメを視聴することは苦行であり、それが「至る」ための材料となりえた、というわけです。苦行を通し「至る」という点では、その大小はあれど原作の登場人物と共通してますからね。ポリゴンショックを彷彿させる、目まぐるしく色調が変わる背景なんかもその「至り」への思いを加速させます。終ノ空』ファンは常に『至る』ことを望んでいるのです。

 

 原作への歪な愛、カオスなアニメの出来、そして何より「至り」への想い……この三つがケロQファンがこの作品を愛してたまらなくさせる理由なのではないか、ということを結論とし、この考察を締めくくります。オワリ

 

 

 

 

 

 最後に、すかぢさん、基4%さんをはじめとした枕スタッフの皆さん、「サクラノ詩」萌えゲーアワード年間大賞、ユーザー支持賞おめでとうございます!

 

 

 

 

 

 

          この記事はフィクションであり過去
          に起きた事件とは何等関係ありませ
          ん、この様な行為は重大な犯罪に当
          り絶対に許される事ではありません
          もし、この様な犯罪を犯した時には
          法の基に裁かれ償いが待っています